11/24/2025

TSUKIKUSAより「ヤドリギ」柄のマイバッグを発売です

 




 今年は状況の変化や、あひろ屋の個展が多い年ということもあり、TSUKIKUSAの方の活動まで手が回らず、休眠させておりました。再販時期やお取引についてのお問い合わせもいただいておりましたが、一からの手作り品ばかりなので、なかなか取りかかれずに季節は冬へ。

ようやく、バッグの縫製を頼んでいた方から届き、さて新しい柄を…と思った時に、季節的にも宿木が思い浮かびました。10年ほど前に手ぬぐいでも描いている柄ですが、せっかくなのでまたスケッチから。

葉や実の色は種類によって様々ですが、黒いバッグなので、落ち着いた利休鼠色の葉に、少し黄色味のある白い実。(調色が難しかったです…)版が微妙にズレても大丈夫なようにデザインできました!

こういう表現はシルクスクリーンならではなので、注染の時とは違った難しさと楽しさがあり、インクの重なりの影響、生地への色の沈み込みも経験不足で予測ができず、戸惑いつつ微調整を続けました。

 マイバッグとして、お稽古バッグとしてお使いくださっている方からのお声に耳を傾けつつ作ってきたのですが、全体的に見直しをして、今後は安定して作っていけるようにと考えています。

 春に一瞬だけ販売していた「スミレ」マイバッグも販売中です。モデルにしているタカオスミレは、今年の春に見ることができなかったのですが、来年こそは、と思っております。





 檳榔子(ビンロウジ)に続き、槐樹(エンジュ)で手ぬぐいを染めたものを販売中です。今日もいくつかの柄を追加したのですが、すでに半分ほどになってしまいました。ありがとうございます。槐樹は萩のような形の白っぽい花をつけるのですが、その蕾で染めます。(なんとなく申し訳ないような気持ちになりますが…)ミョウバン媒染で明るい黄色に染まります。



 ご近所の紅葉もそろそろ終わり。燃えるような色合いのモミジを今年も見ることができました。この日は雪虫もふわふわと飛んでいて、冬が来たのだと感じました。








11/16/2025

檳榔子染めの手ぬぐいなど

  先月から植物染めの発売が続いていますが、また春から秋はそれどころではなくなってしまうので、今のうちのお楽しみ、のような気持ちです。もう一度リベンジしたいもの、新しく染めてみたいものなど、いろいろとありますが… 他の仕事もあるのでほどほどに。

 先日は初めて檳榔子(ビンロウジ、檳榔の堅果)で染めた手ぬぐいを発売いたしました。2日がかりで染液を抽出、豆汁処理をした生地に何度も染め重ねましたが、淡いピンクベージュのような色合いでした。インパクトは弱いと思いつつも、その優しい色は顔映りもよく、可愛らしさがあるので、お好きな方がいらっしゃるかもしれない、と販売をスタートすると、わりと人気があり驚きました。もう少し濃く染められないか、濃度、温度、媒染を調整したりして、粘ってみようと思います。







 檳榔子で染めたあと、そういえば…と思い出したのは、以前いただいた本。
「日本の草木染」上村六郎 著 / 京都書院 刊
昭和40年刊行なので60年も前の本ですが、染め布が貼り付けてあるものもあります。1000部限定品だったようです。(実物の布地ではない印刷のものは多く販売されていて、私も以前持っておりました)

檳榔子のページには、鉄媒染と石灰媒染の布地が貼ってありました。時間が経っていても、いい色合いのまま。檳榔のイラストが、いい感じですね。



… そして注染の手ぬぐいも入荷が続いておりまして「桜」柄が届きました。じつは久しぶりの入荷で、ちょっと嬉しい気持ちに。お年賀用にもぜひ。

入荷が不安定な状況が続いていたこともあり、在庫がある時に仕入れを…というお取引先様が少しずつ増えていて、ありがたく思います。
手間のかかる手仕事の世界も大きく変わりつつあり、納期だけでなく、そのモノ自体もいつまで作れるのか、見通せないことばかりですが、受け継いできたことをなるべくその先へ…と考えています。


 秋にいただいたサフランが開花しました!ありがたいメシベ。(乾燥させて保存)
たぶん10年ほど育てているサフランは、栄養不足なのか毎年葉っぱのみです。もう少しお世話をしてあげないと。今日はベランダの観葉植物たちをすべて室内へ入れました。3日後は2℃まで下がる予報が…あれほど暑かったのに、もう冬ですね。

11/09/2025

墨染めの手ぬぐいを再販いたしました

 

  2017-2018年に販売していた「注染+墨染め」手ぬぐいを再販いたしました。
当時、なかなか思うように染められなかったこともあり、一旦販売を終了しましたが、再販をのぞんでくださるお客様とお話しするうちに、またやってみようかな、という気持ちになりました。(この7年ほどの間に『ぜひ再販を!』とご連絡をくださったり、お声をかけてくださった方々に、このお知らせが届きますように。)

 墨についてや、豆汁処理のことを一つ一つ確認し、試し染めを繰り返しているうちに季節も変わってしまったのですが、ようやくお披露目できるレベルに辿り着けたと思っています。また少しずつ、ご意見を伺いながら調整していく予定です。

 現代は便利な薬剤があり、どんな色合いにも、本来は濃く染めることが難しい自然素材の布にも、鮮やかに染めることができますが…
当店が天然のもので染める際に心がけているのは、古来からの方法、天然の素材を使うことなので、今回も墨と膠、大豆の汁のみで地色を染めております。(とはいえ、柄は注染ですので、化学染料ではあるのですが。)

 豆汁は「まるごと大豆飲料」が手に入れば使いますが、ない時は大豆を水に戻し、ミキサーにかけて絞って使っています。(しぼりカス=おからは料理にできるので嬉しいです。)





 今回の再販に向けて、一番悩ましかったのが墨のことでした。調べていくうちにわかることもあれば、よくわからないこともあり、これは自分で試していくしかないと思いました。最終的には合成糊ではない、膠を使った墨液を使い濃度を調整しながら染めております。この墨液も繊細で、温度によりゲル化してしまったり、時間の経過で劣化するので、その扱いに注意を払っています。浸して、干して、また浸して、干して、その後に、豆汁に浸して、干して、その後は暗所で寝かせておき、最後は徹底的に水洗いをしてから干して仕上げています。






とにかく、最後の洗いが大変で(墨液にどっぷりとつけて揉み込んで染めるので、すすぎも大変…)写真でもわかりますが生地が毛羽立つほどに洗っています。それですので、お使い始めから柔らかい手触りです。

 ここまですすいでも、はじめのうちは多少の色落ちがあり、生地も通常のものと比べると厚みがあるように感じられるかもしれませんが、不思議な魅力を持つ手ぬぐいです。
正直なところ、これは上級者向けの手ぬぐいのようにも思い、どなたにもおすすめできるものではないと感じております。しかし、当店の藍染めや植物染めの手ぬぐいを長年お使いの皆様には、ぜひ、とおすすめしたい気持ちがあります。

日本では古くから豆汁を使う方法があり、墨染めも室町時代には行っていたようです。天然のものを使い、少し古い文献などにあたりながら、試し染めを繰り返していた時間はとても楽しいものでした。


師走に入りました。割引クーポンは12/10までご利用いただけます。

    ようやく色づいてきた ノムラモミジの盆栽。(夏にお祝いとしていただいたのですが、鉢が小さくて窮屈そうなのと、水やりが大変だったので秋に植え替えました。)  今日まではわりと暖かいのですが、これから寒波が来るそうでいよいよ氷点下の予報が。数ヶ月前に40℃近い暑さだったのが嘘...