11/09/2025

墨染めの手ぬぐいを再販いたしました

 

  2017-2018年に販売していた「注染+墨染め」手ぬぐいを再販いたしました。
当時、なかなか思うように染められなかったこともあり、一旦販売を終了しましたが、再販をのぞんでくださるお客様とお話しするうちに、またやってみようかな、という気持ちになりました。(この7年ほどの間に『ぜひ再販を!』とご連絡をくださったり、お声をかけてくださった方々に、このお知らせが届きますように。)

 墨についてや、豆汁処理のことを一つ一つ確認し、試し染めを繰り返しているうちに季節も変わってしまったのですが、ようやくお披露目できるレベルに辿り着けたと思っています。また少しずつ、ご意見を伺いながら調整していく予定です。

 現代は便利な薬剤があり、どんな色合いにも、本来は濃く染めることが難しい自然素材の布にも、鮮やかに染めることができますが…
当店が天然のもので染める際に心がけているのは、古来からの方法、天然の素材を使うことなので、今回も墨と膠、大豆の汁のみで地色を染めております。(とはいえ、柄は注染ですので、化学染料ではあるのですが。)

 豆汁は「まるごと大豆飲料」が手に入れば使いますが、ない時は大豆を水に戻し、ミキサーにかけて絞って使っています。(しぼりカス=おからは料理にできるので嬉しいです。)





 今回の再販に向けて、一番悩ましかったのが墨のことでした。調べていくうちにわかることもあれば、よくわからないこともあり、これは自分で試していくしかないと思いました。最終的には合成糊ではない、膠を使った墨液を使い濃度を調整しながら染めております。この墨液も繊細で、温度によりゲル化してしまったり、時間の経過で劣化するので、その扱いに注意を払っています。浸して、干して、また浸して、干して、その後に、豆汁に浸して、干して、その後は暗所で寝かせておき、最後は徹底的に水洗いをしてから干して仕上げています。






とにかく、最後の洗いが大変で(墨液にどっぷりとつけて揉み込んで染めるので、すすぎも大変…)写真でもわかりますが生地が毛羽立つほどに洗っています。それですので、お使い始めから柔らかい手触りです。

 ここまですすいでも、はじめのうちは多少の色落ちがあり、生地も通常のものと比べると厚みがあるように感じられるかもしれませんが、不思議な魅力を持つ手ぬぐいです。
正直なところ、これは上級者向けの手ぬぐいのようにも思い、どなたにもおすすめできるものではないと感じております。しかし、当店の藍染めや植物染めの手ぬぐいを長年お使いの皆様には、ぜひ、とおすすめしたい気持ちがあります。

日本では古くから豆汁を使う方法があり、墨染めも室町時代には行っていたようです。天然のものを使い、少し古い文献などにあたりながら、試し染めを繰り返していた時間はとても楽しいものでした。


10/26/2025

城谷耕生さんの展覧会。手ぬぐいの入荷など。



 デザイナーの城谷耕生さん。
作品を知ってから食器などを使い始め、憧れていた方でした。

ありがたいご縁の繋がりで、2018年秋に城谷さんのデザイン事務所であり「刈水エコヴィレッジ構想」の拠点でもある刈水庵(長崎県雲仙市小浜町)のギャラリーで手ぬぐい展をひらいていただきました。
滞在していた数日間はとても刺激的で、Studio・Shirotaniの皆様や地域の皆様とお会いできたこと、環境や繋がりの豊かさが教えてくれたことなどを、今も大切に思っています。

現在、城谷さんのお仕事や思いを紹介する展覧会がひらかれています。
イタリアでの学び、教育者としての歩み、デザインのこと、地域のこと、暮らしや仕事で大切にしていること…。城谷さんの思いはこれからも受け継がれていくと思います。
(伺いたかったけれど、難しいかなと思い図録を。素晴らしい内容です。)

「プロジェッティスタ 城谷耕生 - 
イタリアから雲仙小浜へ ひとりのデザイナーの軌跡」
会期:2025.9.14 - 11.2
会場(3会場):KO-SHA(全日程開場)、元Studio・Shirotani、刈水庵(土日祝のみ)
長崎県雲仙市小浜町
Instagram 
https://www.instagram.com/progettista.koseishirotani/







 先日、14年ぶりに発注した柄は「蘭」でした。
しかし、渋紙で彫った型紙は使っていないと劣化もしやすく、使いものにならないという連絡が染め屋さんからありました。(当時はまだ渋紙でした。現在の型紙は洋型紙と呼ばれるものです。)
せっかくの機会なので、新しく彫る前にデザインを見直そうと思います。

型紙がもろくなり、破れてしまった状態を「風邪をひく」と表現されていました。
 "強度が落ちる" ことを「風邪をひく」と表現するのは染色業界だけではなく、繊維や土木関連でも似たような言い回しがあるようです。他にもありそう… 面白いですね。







 首を長くして待っていた手ぬぐいも、いろいろと入荷しております。
数年ぶりの柄や色合いもあります。
最近は入荷すること自体がありがたく(どちらの染め屋さんも忙しいので納期は不明)、わりとはやくに売り切れてしまうことが続いているので、来年以降のイベントの予定も考えつつ販売数量を決めています。



 SNSなどでもお知らせしておりますが、今回入荷分の「矢車菊」柄の中に、一輪だけ葉と同じ色合いのものがあります。(職人さんのちょっとしたミスですね)ご注文時は「深緑色の花 アリ」「深緑色の花 ナシ」をお選びくださいませ。





10/04/2025

「忠別川」手ぬぐい - 東カワウソ様 ご依頼品

 【 デザインを担当しました -「忠別川」手ぬぐい 】


 写真家の萬田康文さんが、2024年夏至の日に開いたパスタ食堂「東カワウソ」さん。北海道の東川町にあります。

オリジナル手ぬぐいのご相談をいただき、テーマは「川」ということでしたので、いつも釣りをされている忠別川のことをお聞きしたり、その "忠別" の音からアイヌ語のこと、土地の名へと関心が広がりました。

川をどこから見るのか。岸辺から?鳥のように上空から?釣り人の目線…とあれこれと考えました。実際に忠別川を見に行けたらよかったのですが、写真からのイメージでおおらかな川を表現しました。

色合いはグレー1色というご希望があり、濃度によっては注染は染めムラになりやすいので、そのあたりが気がかりでしたが、いい色合いに染めていただきました。

お店の名前から「東」の文字が川の波間にプカプカと浮かんでいます。これは萬田さんの字です。さまざまなフォントも検討しましたが、味のある萬田さんの字を使いたいと思い、お願いしました。

首に巻いてお使いになるということで、長さは100cm。生地は木綿の特岡です。
(「忠別川」手ぬぐいは東カワウソさんで店頭販売のみ)

萬田さんのお料理と、忠別川と… 東川へ伺える日が楽しみです。

東カワウソ
北海道上川郡東川町東9号北1番地
https://www.instagram.com/higashikawauso2024/










 *ありがたいことに、オリジナル手ぬぐいのデザインのご依頼をいただく機会が増えました。しかし、あひろ屋の手ぬぐいも作りつつのため、現時点では数年ほどお待ちいただいております。どうぞ よろしくお願いいたします。








9/28/2025

今年の催事は全て終了です。感謝。「縞市松(うすみず色)限定色」発売。

 





 今年も、谷保天満宮例大祭の宵宮の日に展示会が終了しました。
musubiさんで展示する最後の手ぬぐい展。多くの方に足を運んでいただきました。本当にありがとうございました。

DMを置いてくださった国立のお店の皆さまも、ありがとうございました。(最後にいらしたお客様はなんと… 20年以上前に催事でお世話になった方でした。近くのお店でたまたまDMを目にされてのご来店でした。)

… musubiさんにはお仕事だけでなく、地元情報をいただいたり、多くのご縁を繋いでいただいたり、と感謝してもしきれません。寂しくなりますが、これからのことも楽しみに。

ちょうど閉店時間の頃に、お店の前を山車が通りました。皆さんと一緒に眺めることができて嬉しかったです。
その後、musubiさんたちと谷保天満宮へ。気持ちのいい秋風の中、太鼓の演奏を聴いたり、山車の上で踊る獅子舞を見たり。たこ焼き、生ビールが美味しかったです!


 今年は百貨店催事の後に個展が6つも続きましたが、おかげさまで年内のイベントスケジュールを全て終えることができました。様々な困難がありましたが、多くの方に支えていただき、なんとか乗り越えられたような気がします。本当にありがとうございました。



 そしてまた「縞市松」は限定色の販売です。(うすみず色)
「菊」のために発注した地色(薄青色)の手ぬぐいでしたが、注染で柄を染める段階になって、型紙が使えないことがわかりました。彫るのに時間もかかりますし、品薄状態なので、なるべく早くほしいということもあり、急遽「縞市松」柄を染めていただきました。本来の地色は淡いブルーグレーですが、こちらはスッキリとした印象です。なくなり次第終了です。
久しぶりに「蓮花果托」柄も入荷しています。





9/22/2025

望雲さんでの個展終了。musubiさんの展示会は会期後半へ。

 


 福岡の望雲さんでひらかれておりました手ぬぐい展は、昨日終了いたしました。
ありがとうございました!

初日と翌日は在廊し、皆様にお会いすることができて嬉しかったです。
その日は鬼木さんのイベント「台湾食堂」とも重なり、美味しいお料理やお茶をいただきつつ、相席の方々とお話しもできたりして、楽しい時間でした。

新作・旧作は関係なく、皆様それぞれのお気に入りを選ばれてゆくのを、嬉しく拝見しておりました。
注染の型紙を飾っていることで、技法や手ぬぐいについてのご質問をいただき、それもまた嬉しいことでした。ご興味をお持ちくださることで、ささやかでも、手仕事の将来が変わっていくと思っています。

今回は、会期を延期していただいたり、様々な場面で望雲の皆様にご心配をおかけしました。いつも素敵なしつらい、細やかなお気遣いに感謝しております。ありがとうございました。



 そして、国立のmusubiさんの展示会は会期後半へ。
展示用の型紙を一枚追加しました。「照葉」柄です。
こちらの展示会の会期は27日までですが、その日は谷保天満宮様のお祭りとも重なります。楽しみですね。





 長い間販売をお休みしていた「はぎれセット」も再販中です。さっそく、多くのご注文をありがとうございます。(こういうふうに集中してしまうと、どうしても出荷までにお時間をいただいてしまいます… )お届けまで、少々お待ちくださいませ。





 先日、帰り道に思い出し、東博の「運慶」展へ。(無著菩薩様ファンなので…)
開催中の展示は、興福寺北円堂のご本尊 弥勒如来坐像、無著・世親菩薩立像、四天王立像の7軀の国宝仏を一堂に…というもので、弥勒如来坐像がお寺の外で公開されるのは60年ぶりとのことでした。圧巻!

9/15/2025

musubiさんで個展が開催中です(出荷をお待たせしております)

  個展の会期が重なり合いながら続いております…(こういうことは今年限りかと思います。)出荷を再開したものの、展示会中は私も在廊したり、そちらへの追加納品などもあり、なかなか追いつかない状況が続いております。お待たせしている皆様には申し訳ありません。

展示会中は受注を休止するべきかとも思ったのですが、新作を展示会だけで販売するのではなく、卸販売のお店へも、個人のお客様へも、皆様に楽しんでいただけたらと思い(数量の制限はありつつも)同時に販売や受注を行いました。あっという間に完売してしまいましたが、また来年も染めていただく予定です。

一人で全ての運営をするというのは大変なことですが、都度よりよい方法を考えつつ、続けていけたらと思います。年齢とともにできないことも増えていくと思いますし、いつか終わる時が来るので、それまでに何ができるのか、残りの時間を大切にしていきたいです。

 


「萩」の型紙



 そして、9/12から 国立のmusubiさんで、これが最後となる手ぬぐい展が始まりました。
長年お世話になってきた musubiさん。出会ったのは、かけ出しの頃でお互いにまだ会社勤めの20代の時でした。時が流れ、私が国立に戻ってきたことでお取引きが始まり、毎年のように展示会をひらいていただきました。ご家族皆様にも大変お世話になり、たくさんのご縁を繋いでくださったことに感謝しています。
展示会は9/27(土)まで。私の在廊予定は Instagramなどでお知らせしております。

写真は3代目看板猫のスミさん。





9/11/2025

望雲さんで個展スタート。そしてmusubiさんでは(最後の)個展です。

  9/6は福岡の望雲さんでの個展初日。明け方に出発し、終日在廊しました。
手ぬぐいと古いものと、望雲さんセレクトの品々が野の草花とともに。





 
 手ぬぐいの展示は507号室ですが、307号室では2日間限りの美味しいイベントが。
「おにきゆうこさんの台湾食堂」!2年前の展示会の時もおにきさんのお料理をいただきましたが、今回も絶品でした。





 翌日の9/7は午後3時くらいまで在廊していたのですが、オンラインストアでお買い上げくださっているお客様や毎回展示会に来てくださるお客様、お取引先の方、友人がかけつけてくれて、ありがたい気持ちでいっぱいになりました。
そしていつも温かく楽しい雰囲気で迎えてくださる望雲の皆様にも感謝。




 望雲さんでのお買い物は… 燕の木象嵌小箱と、トウヤマタケオさんのCD。(小箱については調べていてわかったのですが、100年ほど前に作られたモシュリンヌ ボックスのようです)


短い滞在でしたが、福岡で過ごせた時間がいい気分転換にもなり、帰りのフライトでは月食直前の明るい月が海を照らしている絶景にも恵まれました。


 望雲さんの展示会は9/21(日)までひらかれています。


 そして、明日からはいよいよmusubiさんの最後の展示会が始まります。
先ほど、大雨の中、型紙などを届けに出かけました。(帰りは雨も上がったので、谷保天満宮様へお詣りしました。)
毎年、展示会をひらいてくださったり、地元ということもあり、いろいろな情報やご縁を繋いでくださったmusubiさん。移住されてしまうのは本当に寂しいです。何事も移り変わっているのだとしみじみと思います。
在廊時間などは短く(出荷がだいぶ滞っているので仕事も進めないといけません)9/12、9/13は 15-18時の予定です。変更がある場合は Instagramにてお知らせします。






墨染めの手ぬぐいを再販いたしました

    2017-2018年に販売していた「注染+墨染め」手ぬぐいを再販いたしました。 当時、なかなか思うように染められなかったこともあり、一旦販売を終了しましたが、再販をのぞんでくださるお客様とお話しするうちに、またやってみようかな、という気持ちになりました。(この7年ほどの間...