秋の虫たちの声しか聞こえてきません。
夜の風がすーっと入ってきて流れていきます。
新作ではなく、「鉄線唐草」柄を描き直しています。
描いてから5年が経っていますが、いろいろと思うところがあって、
またこの柄と向き合いました。新しく描くのとはまた違った
緊張に包まれていて、でも、一度描いた線を体が覚えているような
感覚もあります。
その頃に自分が見ていた風景、考えていた時間が蘇ってきたり、
5年後の今だからこそ、よりものになってほしい!という意気込みもあり、
不思議な気分です。版下を描いている時は、自分との戦いでしかなくて、
その間は悩んでいることも、健康のことも、経済的なことも、
何も浮かんではこないので、ある意味幸せな、しかし切羽詰まった状態です。
でも、虫の声は聞こえてきます。ずっと座っているだけなのに、
なぜかヘトヘトです。ちゃんと描きあげることができるのかしら、
たいして変化がないけれども…。だからこそ、一本の蔓の向き、
花の歪み具合、葉の茂りを描く時が大切。
こんなことを夜中に、必死な思いでやっている、私の現実。
どこか救われない気も。
鉄線唐草の版下です。
(上に重なるトレーシングペーパーの版下は以前のもの。
参考に見ながら描いています)全体的に柄を小さくしてみました。
花の色から塗り、葉とのバランスを確認。
柄によって、書きやすいペンは違うので、いろいろ試しつつ描いています。
どういう筆記具を使っているか、どんなふうに描き進めているのか、と
いうことがわかる「作業机の上の写真」は第一作の「鉄瓶」の時から
撮り続けています。(サイトにはアップしていませんが。)
うっかり、撮り忘れた柄もありますが、なんとなく大切な記録です。